管理人が特撮・アニメ・ネット等について書いたり自作の漫画を公開したりする処でございます。或いは、管理人の日々の愚痴等を垂れ流す処。または、画力向上を図る処。もしくは、インターネットラジオの投稿を報告する処。非常に混沌としております。

管理人について

飛翔掘削

Author:飛翔掘削
冴えない漫画描き。
「人生は楽しみながら」をモットーに、日々思ったことなんかを記していければと思っております。
色々観たり読んだりしますが、主食は特撮怪獣映画。
最近は、漫画と特撮映画と『ストライクウィッチーズ』があれば生きていけそうな気がしています。
2015年1月、人生初の商業漫画が出ました。

更新頻度が低下しておりますが、最低週一回は更新していく予定です。していきたい。
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怪獣撃退戦!  

ちょっと昔に書いた怪獣のSSであります。
ハードディスクに眠らせておくのももったいないような気もするので、このたびここに掲載するのであります。
全編にわたり特撮怪獣映画的ノリで書いております。
感想等ございましたら、コメントお願いします。
では、どうぞ。

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怪獣撃退戦!            
―この物語はフィクションであり、実際の人物・団体・地域・怪獣とは全く関係ありません―

 「・・・そうだねぇ、最近は雑魚すらも滅多に目かけないね」
 「やはり、漁獲量は異常なほどに減少しているんですね」
民放の一社、皇国夕日放送・中国地方支局所属の撮影士、徳川 隆二はため息をついた。最近ここ、大任島での漁獲量が異常減少しているので、同僚の記者・佐藤 啓志と共に取材にきたのである。
大任島。韓国のインチョン港と日本国新潟県の中間にあるこの島は、皇居がやっと入るぐらいの小さな火山島である。島の中心にある大任山はずっと昔に火山活動をやめていて、年月を経る間に風雨に削られて、いまや水平線に沈みそうになっている。 周囲に海産資源が多く、気候もくっきりと分かれていてすごしやすいため、この総面積300ヘクタールほどの小さな島は主に観光と漁業に使われていた。
だが、ここ数週間、漁獲量が1トンを割るという、異常現象に遭遇している―
 「徳川よ、こりゃやっぱり地球温暖化のせいじゃないかね?北極や南極の氷が解けて、世界中の海流の流れが変になりつつあるって話を聞いたことがあるだろ?対馬海流も例外じゃないんだよ」
 取材を終え、旅館への帰り道、啓志がそんな話をしだした。
 「・・・にしたって、ここ数週間ってのはどう考えても異常だろ。今月の初めのほうまでは、いつもどおり鮪が捕れてたってさっきのじーちゃんが言ってたじゃないか」
反論する隆二。
 「まあ、そうだけどさぁ・・・。公害はありえんし、海温も普段と変わらない。そうするともう、海流の変化ぐらいしかないと思うんだけど」
 「まあ、なにはともあれ、明日には引き上げだ。とっとと旅館に戻って取材の内容をまとめたり映像を編集確認しないといかん」
 話もそこそこに、二人は旅館に戻った。

 その夜である。ノートパソコンで映像を編集していると、隆二はとんでもない
モノを映像の中に見た。
 「・・・・おい佐藤、こいつを見てどう思う?」
 その映像は、こうだ。
 
海岸でインタビューを受ける老漁師・藤原 万次郎さん。
 「人手だけじゃなく、ほんとにこの周辺の海で魚が全く捕れなくなっちまった。まるでどっかの誰かが魚をいっぺんに持ってっちまったみたいにな」
 苦々しくそう吐き捨てる万次郎さん。問題はこの直後に起こった。
 画面の奥の方で、海面が不自然に盛り上がったと思ったら、そこに巨大な「何か」が身を起こしたのである。その「何か」は、天を仰いだ後、再び海の中に姿を消した。手前の万次郎さんにピントがあっていたので、とても鮮明とは言えなかったが・・・。

 「・・・お前、さっき撮影してた時に気付いたか?」
 啓太が尋ねる。
 「いや、全く気付かなかった。・・・・何で・・・誰も気付かなかったんだ?」
 「とりあえず本社にメール添付で送るんだ。今すぐに・・・」
 翌日、その十五秒足らずの映像は電波に乗せて全国のお茶の間に運ばれた・・・・。


 「・・・専門家によると、この生物は、一種の水棲生物とされ、太古の生物の末裔である可能性が・・・・」
 【あの】映像が世に出回ってから数ヶ月が経過した。テレビのワイドショーでは、毎日のように【怪獣】特集を組んでいる。発祥の地・大任島では、【怪獣】に【大任獣】と名付け、「大任饅頭」を売り出したり、ホエールウォッチングを模した「大任獣ウォッチング」の観光船を出したりして、すっかり観光資源と化している。
 「大人気ねぇ、あなたの怪獣」
 「発見者の俺の立場としては、大任獣とかよりももっと格好良い名前にしてほしいんだけどね・・・」
 「・・・じゃあ、商標登録とか申請したら?」
 「あはは。そいつぁいいや」
あの映像は主にマスコミの間で高く取引され、その使用料は数百万円。また、【大任獣】の発見者として、ワイドショーへの出演も何度かあった。それらの収入で隆二は米子市内にマイホームを建てていた。
―なんか違う気もするけど、まあ、家族四人、安心に暮らせているから満足するべきか―

【大任獣】については、歓迎一色ではなく、勿論危険視する人達もいた。何せ、映像を観る限り、どう見ても脚がある事は明らかだ。問題は脚が鰭状なのか、そして地上で二足歩行が可能なのかどうか、上陸するか否かである。だが、今のところは船舶被害も無く上陸してくる気配も無い。ただ、あの映像が世間に知れ渡ってから、大任獣の目撃情報も数件上がっている。
 様々な方面からの要請もあり、調査団を結成、大任獣の調査をしようという企画が政府から立案されたのだが、農林水産省が漁場への影響を指摘、船舶関連で運輸省が口を出し、環境資源としての価値を通産省が主張し始め、動物愛護団体からの抗議がきたり、と言った具合で企画は遅々として進まなかった。
 そんな政府に見かねた民間の研究団体による調査団が有志で結成された。ソナー探査及び目視確認、熱源調査など、あらゆる方面の技術を駆使して大規模な大任獣調査が行われた。その結果、大任獣が上陸する可能性は十分にあるという結果が出た。・・・が、それは政府によって隠蔽された。政府のメンツに関わるからである。
 だが哀しい事に、情報はどこからでも漏れるものである。
 「上陸の危険性があるんじゃないですか?何か対策は・・・」
 「いえ、そのような事実は確認しておりませんので・・・」
 こういったやり取りが記者と政府関係者の間で何度も行われた。
 週刊誌の記事には、「大任獣の危険性を知りながら隠蔽する政府!」などと書かれたのだが、数日後その週刊誌は休刊、前後して大任島の役場から「安全宣言」が出された。
 こういう訳で事実上、大任獣対策は全くとられていない。唯一、海上保安庁が大任獣の出現海域に於いて付近を操舵する場合注意を促す程度である。

  「神輿をかつぐマスコミと、隠蔽工作をする政府か・・・。やれやれ、この国はホントに大丈夫なんだろうかね?俺は不安だよ」
 隆二はため息をついた。
 「まあ、今すぐどうこうなる問題でもないし、あなたが心配する事もないでしょ。そんなことより、今度の日曜日はちゃんと連れて行ってくださいよ?子供達、痺れをきらしてるわよ」
 最近忙しく、まともに家族サービスもできなかった。だが、来週の日曜日には何とか休暇がとれたのである。
 「最近、お前には迷惑ばっかりかけてたからな。いや、お前だけじゃないか。子供達もだな・・・」
 隆二自身も相当疲れていたのだが、次の休みはいつになるか解らない。思い立ったら吉日だ。できれば家でゴロゴロしたい。だが、彼のココロがそれを許さなかったのである。
―家でゴロゴロするなら、子供達とあそんでやろう。いつも迷惑ばかりかけてるんだからさ・・・―


 日曜日、徳川一家は米子市内にある海沿いの公園に遊びにやってきた。天気は曇り。天気予報によると、雨は降らないようだ。息子&娘とサッカーをする隆二、それを笑顔で見つめる妻・日出子。どこにでもある家族の風景であった。
 しかし、その平穏は突然破られた!!
 ヴオオオオオオオオ・・・・!!
 この世のものとは思えない、途轍もなく大きな音がしたのである。隆二は目の前の海の中から巨大な柱が立ち上がるのを見た。
 それは、お茶の間で御馴染みの巨大怪獣・大任獣であった。
 ―・・・・おいおい、まるで怪獣映画じゃねぇか・・・―
 隆二がそう思うのも無理がなかった。専門家によると、大任獣の身長は七〇メートル、体重は二〇〇〇〇トンという見解であった。そんな生物が陸上に上がってきて、咆哮しているのである。
 「日出子、とにかく子供たちを連れて高いところに逃げるんだ!あの鰭状の脚じゃあ、坂道は苦手そうだと、専門家が言っていたからな」
 「わかったわ・・・って、あなたはどうするの?」
 「俺は・・・・報道撮影士だ!」
 そう言うと隆二は車に戻り、撮影用のカメラ(仕事熱心な彼は、普段からいつスクープに出くわしても良いように撮影用カメラを携帯しているのである)を持ち出した。
「馬鹿言わないで!あなたも逃げるのよ!」
 「・・・『これ』が俺の仕事だ・・・・。雄輔、もしも俺に何かあったら母ちゃんをたすけるんだぞ。友美、お前も、母ちゃんと雄輔の言うことを聞くんだぞ」
 息子&娘は淡々とうなずいた。子供たちは父の性格・仕事をきちんと理解しているのである。
そんな様子を見て、日出子は深いため息をついてこう言った。
 「・・・どうせこれ以上止めても行くって言うんでしょ?」
 「これが俺の性なんだよな・・・ありがとう。万が一のことがあったら局の方から保険金がおりると思うから」
隆二は頭をかきながら言った。
 「・・・・・バカ!ちゃんと生きて帰ってきなさいよ・・・」
 日出子の目から一粒の涙が零れた。
 ヴォウ!!
 大任獣は小さく吼えると、その巨体を揺らしながら歩き始めた。
 「あいつ、市街地に行くつもりだな・・・。・・・・行くか・・・」
 そう言って隆二はカメラを持ち、肩に通した。
 「あなたも、本当に危ないと思った時はにげなさいよ!絶対に死なないで・・・・」
 「・・・・ああ。大丈夫。必ず戻ってくる」
 そう言うと、隆二は大任獣を追って駆けて行った。その姿がだんだん小さくなるにつれ、日出子は不安に思ったが、自分もじっとしている訳にはいかない。隆二に言われた通り、子供たちを連れて高台を目指して移動を始めた。

 ウウウウウウウウ!!
 『こ、こちら、米子市警察署!き、緊急放送を致します!たった今、巨大怪獣・大任獣が喜田並湾から上陸した模様です!!住民の皆様は速やかにできるだけ大任獣から遠くへ避難してください!繰り返します・・・・』
 うわずった声で緊急放送がそう伝えた。だが、誰がうわずった声などを気にするだろうか?
 大任獣は既に市街地にやってきていたのである。当然、大混乱となっており、放送に耳を傾ける者など居なかった。警察と憲兵が出動し、避難誘導活動をしているのだが、あまり意味を成さなかった。人々は縦横無尽に逃げまとい、無用の負傷も発生しているようである。よく怪獣映画等では「怪獣の下を逃げまとう人々」という画を見かけるが、まさにこれはそんな光景であった。
 大任獣は映画の怪獣のように口から怪光線を吐いたりはしないが、重量が二〇〇〇〇トンという桁外れの重量のため、一歩踏み出すごとに、周囲の家屋が倒壊したり、ビルの窓が割れたりしている。まるで移動する地震だ。
大任獣が尻尾をビルに叩きつけると、簡単にビルが倒壊していった。また、急いで逃げたからなのか、所々でガスの閉め忘れによる火災も発生していた。
 そんな様子をただただカメラに収める隆二。その映像はマイクロ送信により、絶えず皇国夕日放送本社へと送られ続けている。放送局の人間は、驚愕しながらも即座に特別番組を編成、大任獣の映像は全国ネットでお茶の間に届けられていた。
 ―どんどん街が破壊されていってる・・・国防軍はまだ来ないのか?―
 隆二は目の前の光景を撮影しつつ、そんな事を考えていた。
 怪獣映画などでは怪獣が出現すると、防衛軍なんかが即座に登場、怪獣に向け攻撃を開始するものだが、現実はそう甘いものではなかった。


 その少し前から国会では、臨時閣議が開かれていた。勿論、上陸した大任獣への対策についてである。しかし・・・・
 「在日米軍の出動の要請はしましたが、大統領に拒否されました・・・」
 外務大臣が交渉失敗を告げる。
 「やはり、国益になる事以外は動かないんだな・・・!」
 総理が吐き捨てる。
 「いつでも我が日本皇国防衛軍を出動させることは可能ですが・・・」
 と、国防大臣。
 「環境省の立場から言わせていただくと、死体処理や肉片処理の問題から、付近地域への汚染が心配されるので、国防軍の出撃を認めるわけにはいきませんな」
 環境大臣が発言する。
 「国防軍の所有兵器で大任獣を倒せるのですか?」
 総理が尋ねる。
 「いや、そもそも運輸省と農林水産省、通産省がかたくなに調査隊を派遣するのを拒んだから、こういう事になったのではないですか?」
 と、責任を追及するのは科学大臣。
 「何をおっしゃる。我々は拒否などしていない。ただ調査に当たっての問題を挙げただけだ!」
 運輸大臣が発言すると、農林水産大臣、通産大臣が頷く。
 このように、一向に国防軍の出動はなかなか決定されなかった。閣議に於いては、全員一致しなければ「決定した」事にはならない。
その時、ドアが開き、総理秘書が入ってきた。
 「総理、これを見てください!」
 「何だね?臨時閣議中だぞ・・・これは?!」
 総理秘書が持ってきたもの、それは携帯用テレビプレイヤーであった。そして、そこに映っているのは、隆二が撮っている、米子の大任獣のライブ中継であった。
 『大任獣が鉄塔に手を掛けました。あの鰭状の手で、器用に鉄塔をむしっております。あ、今鉄塔が倒壊しました!周囲には粉塵が舞っております。・・・また大任獣が移動を開始しました・・・』
 その映像を観た総理をはじめとした各大臣は息を飲んだ。
 ―我々は何をしていたんだ・・・。一番に守るべきは国民の安全じゃないか・・・―
 「・・・・超法規的に、国防軍の出動を許可します。これは特別災害派遣の扱いとなりますが、大任獣への兵器の使用は許可します」
 総理は即座にそう叫んだ。もはや閣議など必要なかった。
 「国防省関係各局へ伝達、米子市街地戦闘の指示を行います」
 そう言うと、国防大臣は会議室を出て行った。
 程なく、統合幕僚監部から国防軍出動が命令された。
 かくして、前例の無い対怪獣撃退戦が始まったのである・・・!


 二十分後、最初に到着したのは、国防空軍美保基地所属第二飛行小隊であった。五五式支援戦闘機・電影が十二機。全機、大任獣の上空を旋回しはじめた。
 グオォォォォォォウ!!
 騒然とした空気を感じたのか、大任獣は威嚇するような咆哮をあげた。警察・憲兵隊からの報告によると、付近住民の避難は終了したようである。
 確認をとり終えた編隊長・服部 義雄二等空佐は、攻撃開始を通達した。
 「全機、攻撃態勢へ移行せよ!」
 編隊のうち四機が高度を下げ、20ミリ機関砲による攻撃を開始した。
 ドガガガガガガガガガガガガガ・・・
 降下、砲撃、離脱を繰り返すその姿は、まさに優美であった。が、大任獣にはあまり効いていないようである。せいぜい動きが鈍る程度だ。これではダメージを与えられているとは言えない。
 「それならば・・・・」
 服部機が降下体制に入り、大任獣の正面から、二基の五三式空対艦誘導弾乙型を叩き込んだ。
 グワアアアアッ!!
 大任獣が叫び声を上げ、背中から倒れこんだ。命中だ。しばらくして大任獣は、唸りながらゆっくりと立ち上がった。
 「対艦ミサイルは効くぞ・・・。全機、誘導弾による同時攻撃をかけろ!」
 服部二佐は全機に通達した。
 三機ごとにフォーメーションを組み、大任獣に向かって、五三式空対艦誘導弾乙型の四方向一斉発射。全基、大任獣に着弾。弾幕でその巨体は覆われた。煙の中から大任獣の悲鳴が聞こえる。どうやら大任獣は倒れた拍子に近くのビルの下敷きになったようだ。
 だが、煙が晴れると、中からさほどダメージを受けていない大任獣が姿を現した。
 「・・・ッ!なんて奴だッ!!」

 数分後、国防陸軍第三師団が到着した。だが、兵士達は不安であった。
 ―電影の集中対艦ミサイル攻撃を受けてもびくともしなかった大任獣に俺達の攻撃が通用するのだろうか・・?―
「臆するな!こっちには物量がある。特車兵器群の威力をあの怪獣に見せ付けてやれ!」
 四二式指令通信車から全車に向けて放送するのは、陸軍第三師団指揮官・武田 秀明陸将補だ。彼は思い切りがよく、部下からの信頼も厚い男だった。武田将補の言葉に、兵士達は、士気を揚げ、攻撃の準備を進めた。
 だが、ここで問題が発生した。
 「将補!センサーによる誘導が行えません!」
 「なんだってぇ!?・・・・本当だ・・・。レーダーもセンサーも熱源探知機も真っ白だ・・・。信じられん・・・!」
 武田将補は驚愕の表情を浮かべた。
 「ならば、どうやって・・・」
 「・・・・・なぁに、センサーが無理なら目視攻撃に切り替えれば良い。古風な作戦になるが、止むを得ん。・・・・全車両に通達する。誘導センサーを切り、手動でロックせよ」
 武田将補は機転の利く男でもあった。
 四〇式対艦誘導弾車及び、一五式二四連装ロケット砲車の照準が大任獣に向けられた。
 グオオオオオオオオッ!
大任獣が咆哮する。
 「第五特別車小隊、撃ち~方始めッ!」
 ズドドドドドドドドドン!
 武田将補の号令と共に、全車一斉に火を噴いた。
 あまりダメージは与えられていなかったが、大任獣は鬱陶しかったのか移動を開始した。
 「大任獣、移動を開始しました。ベクトル補正完了。進路は東北東に移動中。現在目標は国鉄山陰本線・東山公園駅周辺です」
 「よぉし、狙い通りだ。進路を反れないように砲撃を続けるんだ。第四戦車中隊、目標の前方に散開、新日野橋への誘導砲撃を怠るな!」
 五〇式主力戦車をはじめとする第四戦車中隊の誘導砲撃は、大任獣にとって蚊が刺した程度の認識しか与えられなかっただろう。だが、誘導するには十分な効果を博していた(考えてもらいたい。蚊が沢山群がっているところにあなたは進んで突っ込んでいくだろうか?)。
 「目標、国道九号線上に入りました。新日野橋への距離、十二キロ。七分後に到達する予定です」
 国道九号線はこの辺りの道路の中で最も大きく、また、直線であるので見通しも良く、大任獣を攻撃するにはもってこいであった。
 「OK。新日野橋に四八式対戦車地雷を仕掛けるんだ。三分でやれ!」
 新日野橋に大任獣が到達したら、橋を爆破、大任獣を日野川に落とし、そのまま海へ撃退する作戦である。
 「了解!」
 「目標は梅翁寺を通過した。急げよ!」
 武田将補の激が飛ぶ。

 「地雷の設置作業設置、完了しました!」
 「よし、歩兵隊はすぐに総員退避。その後日野橋へ移動、観測機器を設置せよ。第一特車小隊は目標後方五〇〇メートルに待機、目標の急転換に備えるんだ。第四戦車隊は新日野橋下の中州に待機。目標が落下したら砲撃を開始だ」
 「了解。各隊、指定区間に移動開始します」
 かくして、大任獣は武田将補の思惑通り、新日野橋上までやってきた。
 「地雷点火ぁ!」
 「地雷、点火!」
 ズドドドドン!!
 地雷が炸裂し、新日野橋と共に大任獣は日野川に落下した。大きな水飛沫が上がる。
 「歩兵隊、観測を開始します」
  大任獣が立ち上がった。
 「よぉし、第四戦車隊、砲撃開始!目標を海へ誘導するんだ」
 後方からの砲撃を受け、大任獣は海に向かって歩みを進めた。皆生橋の下を通過し、大任獣はとうとう美保湾へと抜けて行った。
 ドドーン!ドーン!
 海上から大任獣に向けての砲撃が始まった。作戦が海上誘導の段階へ移行したのである。
 「俺達の仕事はここまで。再度上陸するなら別だが・・・。まあ、そんなことはまずなかろう。見ろ、奴さん海に戻れて嬉しそうじゃないか。今回の攻撃で奴は【地上は鬱陶しい所】だと認識したに違いない。あとは村上海将の第四艦隊群に任せるんだ。皆、ご苦労だった!」
 武田将補は、海を進む大任獣を見つつ、煙草をくわえた。

 「弐番魚雷命中!目標が浮上を開始しました!」
 地ノ御前半島から北東へ約九キロの海域で、海上戦は今まさに大詰めを迎えようとしていた。もう辺りは夕闇に包まれつつあった。
 第四艦隊群は駆逐艦四隻、巡洋艦三隻、戦艦一隻から成り立っている。
 「『釧路』は後方へまわり、目標の浮上と同時に砲撃。タイミングをずらさないように!」
 指示を出すのは村上 益郎海将。ベテランである。その口髭は、いかにもと言った風格を醸し出していた。
 「儂は昔、親父と怪獣映画をよく観に行ったもんだ。あれから五十年、今こうして怪獣と戦っているのはなんとも複雑な気分だよ」
 村上海将は懐かしそうに副官にそう話す。
 「私が子供のころは、もう毎日テレビで怪獣や怪人が暴れまくっていた時代でした。あの頃はヒーロー物が量産されていた時期でした・・・」
 副官はかつて、M78星雲からやってきたヒーローに憧れた子供であった。
 「目標、我が艦に接近!距離・四五〇〇、速度・三〇ノット!」
 「三・四・五番魚雷発射!『脊振』、『大山』は援護射撃をしてくれ」
 「三・四・五番魚雷発射!」
 第四艦隊群旗艦・旗艦、戦艦『尾張』の魚雷が発射された。
 「三・四番魚雷、命中!五番魚雷はコースを外れた模様」
 「目標との距離、四二〇〇!」
 「よし、距離四〇〇〇でアスロックを発射するぞ!」
 「『石狩』、『利根』、『遠賀』、右舷へ回頭します」
 「対潜アスロック魚雷発射準備!全艦に連絡!砲撃戦準備」
 「距離、四一〇〇!」
 「準備完了!」
 「距離、四〇〇〇!」
 「発射!!」
 「アスロック発射!」
 ブリッジの前に設置されたランチャーから四基のアスロックが発射された。飛翔体は音速に達し、目標上空に到達すると前半の魚雷部分を切り離した。切り離された魚雷部分はパラシュートで海面に着水、目標へ沈降、捜査運動に入った。
 「全弾命中!目標、海面に出ます!!」
 「目標が姿を現しました!」
 グオオオオオオオオオオオッ!
 雄叫びと共に大任獣が海面に姿を見せた。巨大な尻尾で海面を叩き、巨大な背鰭が夕日に照らされギラギラと光った。
 その姿を目にした兵士達が、その姿に釘付けとなった。
 「全艦砲撃開始!兵器使用自由!」
 村上海将の号令で兵士達は我に帰った。
 「全艦、主砲発射!!」
 巡洋艦三隻の一二七ミリ砲が一斉に火を噴き、数十発の砲弾がほぼ同時に着弾した。外れた数発が大きな水柱を作る。
 グアアアッ?!
 大任獣は怯んだように見えた。
 「主砲、発射!」
村上海将補は号令をかけた。
 「五一センチ砲、発射!!」
ズドーン!!
超大和型戦艦である『尾張』の主砲が火を噴き、大任獣に命中した。
グョオオオオオオオオオ!
大任獣は叫びをあげ、海の中へ姿を隠した。
 「よし!『釧路』、『石狩』は魚雷発射!浮上したところを巡洋艦群のハープーンで狙い撃て!」
 海上誘導戦は最終局面に入った・・・・!


 大任獣の上陸から丸一日が経過した。現場となった米子市は、地震の後のような様相を呈していたが、地震と大きく異なるのは、巨大怪獣・大任獣の進路に沿って街が壊滅している点である。現在、消防・警察・国防軍による復旧作業が行われ、水道・ガス・電気・交通と言ったライフラインが、急ピッチで復旧されつつあった。
 迅速な避難の為、死者は〇人。しかし、負傷者は二三八人であった。
 第四艦隊群のハープーン攻撃により、大任獣は日本海へ抜けた。現在は海軍・海上保安庁の監視下にある。
 隆二は軍の命令で避難していたが、安全地帯からずっとカメラを回し続け、戦闘の様子を本社に送り続けていた。この映像は、世界中で同時中継され、世界中の人々を驚かせたのである。
 一夜明けて、代わりの撮影士に交代し、臨時避難所の米子市立啓成小学校にやってきていた。災害用伝言ダイヤルのメッセージで日出子からここに居ると伝えられたからである。
「無事で良かった・・・」
 日出子と子供達の姿を見つけて、隆二はホッとした。
 「怪我とかは無いか?」
 「大丈夫。子供達も世話ないわ」
 「そうか。取り敢えずは安心だな」
 「あなたも大丈夫みたいね」
 「この通り、ピンピンしとるわい」
 「パパ、本当に大丈夫?」
 「ああ。雄輔。心配掛けたな。母ちゃんを守ってくれてありがとな」
 「ママったら心配で全然眠れなかったのよ」
 「ちょっ、友美・・・・」
 「はっはっは。なにはともあれ、皆無事で何よりだ」
 安堵する徳川一家。
怪獣は過ぎ去ったが、隆二一家は二日ほど自宅に戻れなかった。台風や地震が起きたとき、すぐに自宅に帰ることは出来ない事もある。それが人知を超えた怪獣の被害なら当然というものだろう。そして、帰宅して家が崩壊しているのを目の当たりにするのであった・・・・。
 「お・・・俺のマイホームがあああああああッ!!」

 大任獣上陸から一ヶ月が経過した。その間、様々な事があった。
 政府への査問、調査結果隠蔽問題の露見、国防軍の対応の遅れ・・・。それらが相俟って、来月には内閣総辞職へ流れるそうだ。また、専門家の指摘によると、「一匹の新種生物がいたら、最低二十匹の個体が居ると考えるのが生物学の常道」なので、海軍と海上保安庁が協力して怪獣捜索を兼ねた海上警備を常時行っていた。
 その中で、大任獣と同種のものと思われる巨大生物の死骸が発見された。死骸には、多数の引っかき傷があり、どうやら外敵に襲われたようだ。これまた国防軍(主に海軍)が死骸の処理をしなければならなくなり、金と時間が費やされる事となった。
 死骸の処理では、異臭が漂い、未知の病原菌が検出され、付近住民や兵士に疫病が蔓延したり、付近海域に甚大な汚染が確認されたりと、様々な問題が発生した。
 しかしこの一件は、まだまだ巨大生物が居る事を示唆していたのである。
 この発見と前後して国防省は、怪獣に対抗するべく軍備の増強を提唱したが、中国や韓国をはじめとした主にアジア諸国から「近隣諸国の脅威となる」として猛烈に抗議が殺到、結局は企画倒れに終わった。一番 意外だったのが、米国が猛烈に反対した事であった。
 一方、壊れた家の代わりに、市内の借マンションに引っ越した(保険会社が「怪獣の襲来は補償の対象外なので・・・」と言い、災害保険が下りなかった為である。)隆二は、メディアへの露出がいっそう多くなり、家に帰れる日もかなり減少した。その上会社からの要望で、現在は怪獣関連の取材で、日本中を飛び回っている。せっかく取れた休日に家族サービスをした結果、余計多忙になってしまった。なんという皮肉であろうか。
 『まあ、金を沢山運んでくれるからいいわ。危険な仕事でもないしさ。この分だとまた家が買えそうじゃない』
 「・・・・。まあ、その暁には『怪獣保険』付きの保険会社に介入しようや」
 『あははは』
 「えーと、子供たちは元気か?」
 『元気よ。学校でよく【お父さんの話題】になるって、自慢げだったわ』
 「そいつは結構な事だな。  おっと、時間だ。じゃあ、また連絡するよ」
 隆二は電話を切り、次の現場に向かった。
                                  終
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2009/10/07 17:45|SSTB:0CM:0

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