管理人が特撮・アニメ・ネット等について書いたり自作の漫画を公開したりする処でございます。或いは、管理人の日々の愚痴等を垂れ流す処。または、画力向上を図る処。もしくは、インターネットラジオの投稿を報告する処。非常に混沌としております。

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飛翔掘削

Author:飛翔掘削
冴えない漫画描き。
「人生は楽しみながら」をモットーに、日々思ったことなんかを記していければと思っております。
色々観たり読んだりしますが、主食は特撮怪獣映画。
最近は、漫画と特撮映画と『ストライクウィッチーズ』があれば生きていけそうな気がしています。
2015年1月、人生初の商業漫画が出ました。

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庵野秀明第1回監督作品にして、伝説的OVA作品! 『トップをねらえ!』 

今年7月29日に公開される『シン・ゴジラ』。
管理人はこの映画の公開が非常に楽しみでございまして、もう公開日までの残日数を指折り数えていたりする訳でありますが、しかしまだまだ公開まで1ヶ月と少し。努めて落ち着き払い、ゴジラを迎えてやろうと、そういった心持ちでございますよ。
そんな訳で『シン・ゴジラ』の予習の一環として、庵野秀明監督の商業監督作品第1作目である、アニメ『トップをねらえ!』を、観ていたりもする訳であります。
そんな感じで本日は、『トップをねらえ!』について、少し書いてみようかなぁと思うところであります。宜しくお願い致します。
それにしても遂に『トップをねらえ!』について当ブログで書く事になったのですなぁ……って、なんか丁度1ヶ月くらい前にも同じ導入で記事を書いたような気が……(笑)。まぁ、『トップ』は『ハルヒ』とは違って管理人が生まれる前の作品なのではありますが。

トップをねらえ!
そういやこの作品もBDBOXが出る直前にDVDを買い揃えてしまった作品であったなぁ……。

トップをねらえ!』は、1988年より順次発売された、GAINAX制作による全6話構成のOVA作品であります。タイトルからよく「スポーツモノ」だと思われていたりもするのですが、ジャンルは「SFロボットアニメ」という事になっており、ゲーム「スーパーロボット大戦シリーズ」にも度々参戦しており、ロボットアニメファンの間では一種の「伝説のアニメ」としても認知されていたりもします。
キャッチコピーは「炎の熱血友情ハードSF宇宙科学勇気根性努力セクシー無敵ロボットスペクタクル大河ロマン!!!!!」。「なんじゃそりゃ!?」と思ってしまいますが、しかし作品本編を観たら分かります通り、そのキャッチコピーに違わない凄まじく壮大で熱い作品として仕上がっているんですよね。
制作スタッフは、原作に岡田斗司夫、脚本は山賀博之、キャラクター原案が美樹本晴彦、音楽に田中公平、絵コンテは樋口真嗣、そして監督は庵野秀明、という布陣でありまして、原画や作画監督、各種設定として貞本義行や前田真宏が参加しているなど、後のGAINAX作品や、延いては『シン・ゴジラ』に携わる事になるスタッフも、本作の中核スタッフとして参加している訳でありますね。この1988年から制作された『トップをねらえ!』が2016年の『シン・ゴジラ』へ繋がってっているのだという事を考えると、また感慨深くなる訳でございますよ……!
他方、本作は同じくGAINAX制作のアニメ映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼』で抱えた負債を返済する為に、解散する予定だったGAINAXが存続した結果企画された作品であるという側面もあり、確実に売れる為に「女の子、メカ、怪獣」というオタクが大好きなモノをブチ込んだ作品にもなった訳であります。『王立宇宙軍』が非常に硬派な印象のアニメ映画だった為、この『トップ』の一見するとおちゃらけたギャグのようなビジュアルと作風に度肝を抜かれたという当時のアニメファンも多かったのだとか。
それにしても『王立宇宙軍』での負債が、結果的には本作や『ふしぎの海のナディア』や『新世紀エヴァンゲリオン』、『フリクリ』に『天元突破グレンラガン』といった後のGAINAX作品に繋がっていくのですから、まぁ、世の中分からないものですよねぇ。

して、そのあらすじは以下の通りとなっております。

時に西暦2015年。超光速航法が実現して宇宙時代を迎えた人類は、宇宙の脅威「宇宙怪獣」による初めての攻撃を受けた。
試験航行中であった地球帝国宇宙軍の超光速宇宙戦艦るくしおんをはじめとする宇宙艦隊は、宇宙怪獣の襲撃により壊滅してしまう。これを切っ掛けに人類は、宇宙怪獣との長く苦しい戦いの日々を生きる事になる……。

それから6年後の2021年。るくしおん艦隊のタカヤ提督の一人娘であったタカヤ・ノリコが、地球帝国宇宙軍付属沖縄女子宇宙高等学校に入学する。
これは、持ち前の努力と根性で戦う、一人の女の子の物語である!



作品本編について触れる前にまず諸々の設定まわりを見てみますと、「バブル経済が続いていってとうとう日本がアメリカのハワイを買収してハワイ県にしてそこをアメリカが真珠湾に奇襲攻撃を仕掛けて日米戦争が始まっちゃってそのままの勢いで日本がアメリカに勝っちゃって世界を征服、地球帝国を樹立。東京を帝都とし、天皇は地球人類統合の象徴となった!」という、なんか色々とヤバい事になっていたりもするんですよね。勿論、本編中では一切それらの設定に言及されてはいませんけれども。まぁ、そもそもの話として元々GAINAXの母体となったDAICON FILM自体が『愛國戦隊 大日本』なんかの自主製作映画も制作していて、右も左も笑い飛ばす芸風だったというのも関係しているのかも知れませんが(笑)。
しかしながら、同じバブル期に制作された特撮怪獣映画『ゴジラVSキングギドラ』に於いても、「未来に於いて日本が全世界を支配している」的な話になっている訳でありまして、なんとなく『トップ』のこのブッ飛んだ設定も、バブル期の日本の表象となっているのかなぁ、と思わなくもないですかね。
或いは、様々な日本で制作されているアニメやSF映画なんかで「世界的な使命を背負っている筈なのに主要登場人物の殆どが何故か日本人である」という事へのメタ的なアンサーなのかもと思ってみたり。そりゃ日本が世界を牛耳っていたら世界の命運を左右するポジションに日本人が多数立っていたり公用語が日本語だったりしてもおかしくないっすわな!(笑)

さて、作品全体のノリとしては、やはりと言うかなんというか「80年代だなぁ」と感じるところは多々ありますが、全体的には第1話を除いてはSFカラーで統一されているように思います。
宇宙での戦闘や、亜光速航行によるウラシマ効果、縮退炉やブラックホール爆弾、そして敵である宇宙怪獣の人類を殲滅せんとする行動原理が銀河系の免疫抗体であるという事に基づいている等全体的に結構重厚なSF考証が為されており、宇宙怪獣と宇宙艦隊が戦うという荒唐無稽な物語でありながらも地に足が着いている印象を視聴者に与えてきております。
地に足がついている」という点で言えば、作中に度々登場する様々な看板や小道具等のほぼ全てが1988年当時実在していたモノになっているというのも挙げられますか。登場人物達が飲んでいるコーヒーはUCCコーヒーだったり、宇宙ステーションへ向かうシャトルをJALが運行していたり、宇宙戦艦ヱクセリヲンの艦内鉄道として国鉄103系電車が走っていたりしており、アニメではありながらも「現実の延長上の世界なのだ」という事が強調されている訳であります。ソ連は崩壊しちゃいましたけど。
設定面でも、作中に登場する人型ロボット=マシーン兵器は日産とフォルクスワーゲンの共同開発となっていたり、宇宙戦艦ヱクセリヲンは三菱造船や石川島播磨重工等の企業からなる日本重化学工業企業共同体が建造を行ったという事になっていたりします。
近年に於いては現実世界に実在する企業等ともタイアップを行ったりして、アニメにその企業の製品等がそのまま登場するという事が増えてきておりますが、『トップ』が制作された80年代後半頃にはそういった作品もほぼ無く、現実にもある身近なモノがアニメの小道具として登場すると言うのは結構斬新な事だったのではないでしょうかね。勿論、許可なんかはほぼ取ってはいなかったのでしょうが……(笑)。

そして、この作品について書くに当たり言及しなければならないのは、やはり、『エースをねらえ!』と『トップガン』を足して割ったようなタイトルを見れば分かります通り、本作は古今東西ありとあらゆる漫画、アニメ、洋画、邦画、特撮にSF小説等のオマージュで構成されているという点でありましょう。
管理人も大好きな『妖星ゴラス』や『宇宙大戦争』に『日本沈没』等の東宝特撮映画や、或いは、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』、『超電磁ロボコン・バトラーV』に『伝説巨神イデオン』等のロボットアニメや『宇宙戦艦ヤマト』のようなSFアニメ、更には『ウルトラマン』や『仮面ライダー』に『スーパーロボット マッハバロン』や『Xボンバー』といったTV特撮作品に、『激動の昭和史 沖縄決戦』をはじめとした岡本喜八監督の映画等々、その「元ネタ」は多岐に渡っております。それこそ、『トップをねらえ!』の元ネタについて記述するだけで一冊本が書けるくらいに(笑)!
時には現場で、「このシーンに使えそうな元ネタを探して来い!」なんて話もあったくらいでありまして、この『トップをねらえ!』という作品は作品全体でパロディやオマージュをこれでもかというくらいに詰め込んだ作品であるという事が出来るでしょう。それは台詞であったり、画面構成であったり、設定面であったり、或いは劇判曲であったりもするのでありますが、しかしながら凄まじいのがそれらを単なる「パロディのギャグ」の組み合わせとしてでは無く、「『トップをねらえ!』という作品の1場面」として昇華しているという点にあると思うんですよね。
80年代のOVA作品には、オタク層をターゲットにしていた性質上から様々なアニメや特撮のパロディギャグが展開されるというのがあった訳でありますが、その観点から見ると『トップをねらえ!』はそれらのパロディ群とはまた違った趣になっている訳でございますよ。様々な作品から引用を用いつつ自分達の言いたい事を盛り込むというのは、そのまま庵野監督の芸風になってもいる訳でありますが。
しかしながらパロディ・オマージュ満載のこの『トップをねらえ!』も後に、『ストライクウィッチーズ』や『宇宙戦艦ヤマト2199』、『放課後のプレアデス』に『ハッカドール』といった後続のアニメでパロディやオマージュされている訳ですので、そうして、アニメのパロディ・オマージュの循環として続いていっているのは、何とも面白いなぁと、感じるしきりでありますかね。アニメの歴史を感じざるを得ません。

……ここまでで既に4000字近くの文字数を費やしてきましたが、漸くストーリーについて語る段になりましたよ(笑)。
長くなるぞ、この記事は……。

第1話は、まず巨大ロボットが筋トレをしたり組体操をしたりしている全く持って意味不明な映像から始まりました。
いや、明らかにおかしいでしょ!?
何で機械であるロボットが筋トレしているんだとか、そもそも宇宙に上がるのに人型ロボットの訓練をするのは何故なんだとか、開始数分でもうツッコミ疲れてしまう訳ですよ! その上「お姉さまが鉄下駄を!?」とか、笑うしか無ぇよ!!
もう第1話は、古典的な少女漫画のフォーマットにスポ根モノのテイストやロボット要素を乗っけて全力で視聴者を笑わせにきていると言えるでしょう。スパルタの鬼・オオタコーチが『ウルトラマンレオ』のダンの杖を使っているというのもまた……(笑)。
それでも、管理人などはノリコの特訓風景に、「日常の中の巨大ロボット」を感じて結構好きだったりするのですけどね。絵コンテは樋口監督なので、そこは特撮ライクな画作りになっている訳ですし、空気感の描写を見てもやっぱり庵野監督はこういうのが上手いなぁ、と。作画もOVAだけあって崩れも殆ど無く良く動きますし。
コレを観た視聴者は、まさかこの後あんな展開になるなんて思いもよりませんから、まぁ、『トップをねらえ!』を文字通り「ハイクオリティだけどおちゃらけたパロディギャグアニメ」だと認識するでしょう。庵野監督がほくそ笑んでいる姿が目に浮かんでくるようです(笑)。

第2話では、そのおちゃらけたパロディギャグ的な雰囲気を保ちつつも、6年前に死んだノリコの父であるタカヤ提督が乗っていた、超光速宇宙戦艦るくしおんが太陽系付近に亜光速で接近してくるというお話に。
これを受けてノリコ、カズミ、オオタコーチが小型の亜光速艇で確認を行うという事になる訳でありますが、ここから『トップをねらえ!』という作品が単なるパロディギャグ作品から一歩先に進んでいく事になるのでありますね。
勿論、亜光速艇の発進シークエンスは『妖星ゴラス』のゴラス観測カプセルの発進シークエンスっぽかったり、コーチやタシロ提督が話しているシーンの後ろでカシャカシャ回っているテープ式のコンピュータなんかは50年代、60年代のSF映画っぽいテイストだったりと様々な場所に様々な作品のパロディ・オマージュが組み込まれてはいるんですけどね。
亜光速で航行する事により、ウラシマ効果が発現。ノリコ達にとってはほんの10分ちょっとの出来事が、地球では半年以上もの時間が過ぎてしまう。それは亜光速で飛んできたるくしおんも然りで、15年前に消息を絶ったるくしおん艦内では、まだ2日しか時間が経過していなかった。ノリコは第1艦橋を目指すが、しかしそこは宇宙怪獣に破壊された後だった……。
非常に、切ない話であります。
しかし、『トップをねらえ!』は、この「ウラシマ効果」をひとつの軸に、展開していく事になる訳ですね。

第3話と第4話では、超光速宇宙戦艦ヱクセリヲンを旗艦とする宇宙艦隊と人類を脅かす敵である宇宙怪獣の戦いとなる訳であります。
この作品の世界の宇宙はエーテルで満たされているという事になっており、宇宙戦艦もエーテルの抵抗を抑える流線型、爆発等もエーテルを通して衝撃波として伝わってくる等、作画演出に説得力を持たせる設定として機能しているように思います。
そうして描かれる、宇宙を航海するヱクセリヲン乗組員達の日常。艦が揺れたり、航路を確認したり、広大な艦内を列車で移動したり、ワープ中に肝試しをしてみたり、大目玉をくらって甲板のレーザー砲のレンズ磨きをさせられたり。いやぁ、何といいますか、航海モノはいいぞ、と(笑)。
それにしてもえげつないのは宇宙怪獣でありますよ。海棲生物っぽい見た目も然ることながら、恒星を繁殖場所としてエネルギーを喰い尽くし、次々と星を殺しながら地球人類を目指すえげつないその姿は、「怪獣」というネーミングではありながら、ゴジラやウルトラ怪獣達のような愛らしさは一切ありません。人類絶対殺すマンですよ、人類絶対殺すマン!

この2話でノリコは初恋を経験したり初出撃を経験したり想い人の死を経験したり特訓したり未完の最終兵器で出撃したりする事になる訳で何かと忙しいのではありますが、しかしやはり、初恋の相手であるスミスとの離別や憧れのお姉さま・カズミにコンビ解消を言い渡された挫折が、第4話でのガンバスター発進のカタルシスに集約されるという構成になっている訳でありますよね。
ここでポイントになるのが、ガンバスターがあんなに格好良い音楽をバックに発進するのにアフターバーナーが昭和のガメラっぽいショボい表現になっている……という事では無く(笑)、ガンバスターのカラーリングが宇宙戦艦るくしおんと同じものになっているという点であります。
ガンバスターの設計をしたのはタカヤ提督の部下だったオオタコーチで、その操縦種はタカヤ提督の娘であるノリコ。そしてそれがるくしおんと同じカラーリングになっているというのは、オオタコーチの想いを感じざるを得ませんよ……!
そうして、「努力と根性」を一つのキーワードに進んできたノリコの成長物語はガンバスターで火星軌道付近にまで迫った宇宙怪獣を倒す事で完結する訳でありますが、しかし物語はまだあと2話、残っている訳でございます……!
パロディ、オマージュ的には、ヱクセリヲン艦隊に宇宙戦艦ヤマトがどさくさにまぎれて混じっていたり、宇宙を航行している宇宙艦隊群が特撮セットの吊り操演で動いているかのような挙動をしたり、ガンバスターが飛んでいく際にマッハバロンのようなポーズを取っていたりする部分がポイントでしょうか。作品は大真面目なノリではありますが、しかし制作スタッフは爆笑しながら描いていたとか(笑)。

因みに、OVA展開をしていた本作、売れなかった場合はこの第4話で打ち切りという事になっていたのですが、売れ行きも好調だった為残りの2話の制作が決定したという話があります。いやぁ、売れてくれて本当に良かったっすよ。80年代の先輩オタクの方々が買ってくれたから、管理人のような後追い組が完全な形で観れる訳でありますからね……!
80年代、90年代のOVA作品は、売れずに打ち切りで尻切れトンボみたいになってしまった作品が多数ある訳で、『トップをねらえ!』でそれが起きなくて本ッ当に良かったですよ。
よく、5話・6話は「後付けで制作された」という事が言われたりもしているのではありますが、庵野監督ら製作スタッフは、第6話のエンディングから逆算して構成しているという旨の事を言っているので、やはり制作意図としては初めから全6話構成だった訳なのであります。一応第4話はクライマックスっぽくはなっていますけれども、でも制作意図通りの構成で観たいですもん。

さて、第5話ではそれまでとは雰囲気がガラッと変わります。
太陽系を離れ、超光速で航行していたヱクセリヲンに乗っていたノリコとカズミにとっては僅か数ヶ月の航海でしたが、ウラシマ効果によって地球では10年の月日が流れてしまっていました。そこでノリコは同級生で親友のキミコに再会するのですが、彼女は結婚してお母さんになっていたのでありました。
切ない。実に切ないお話なのではありますが、しかしコレ、なんだか身につまされるようなお話なんですよね、これがまた。この話に於ける「ウラシマ効果で10年取り残されてしまったノリコ」というのは、まるっきり視聴者である「オタク」のメタファーにもなっている訳でありますよ……。
10年の間で、学生の時に一緒に馬鹿やっていた友達も結婚して家庭を持ったりもしている。翻って、自身は相変わらずオタクのまま。社会人になっても相変わらずにオタクをやっているのは自分だけなのでは無いか、という得体のしれない寂しさと焦燥感に駆られるのは何故でありましょうか。いや、「オタク」として突き抜ければそれでも良いのではありますが、しかし管理人も時々こう感じてしまう時があるんですよね。「俺は、このままオタクを続けていて良いんだろうか」と。
トップをねらえ!』という作品は、全面的にオタクの方向へ向いた作品ではあるのですが、こうして成人オタクの心を確実にえぐってきたりする、恐ろしい作品でもあるんですよ(笑)。
諸々のスタッフインタビューなんかをみると、どうやら企画・原作の岡田斗司夫さんや、脚本の山賀さんは割と意図的にオタクの自虐を盛り込んだとらしいのですが、一方で庵野監督は特にそういう意図を持って演出していたという訳では無いようです。そのあたりの制作者間での空気感の違いもあって、なかなかどうして興味深い話でありますよね。

第5話での物語は、数億という天文学的単位で太陽系に迫りくる宇宙怪獣軍団に人類はどう立ち向かっていくのか、という話になります。
ここでの地球帝国宇宙軍の首脳陣が志村喬やら香川良介やらによく似た顔の軍人達で構成されており、往年の東宝の戦争映画というか『日本のいちばん長い日』のような雰囲気なのに、卓上に松本メーターが置いてあるというなんともシュールな図だったりもするのですが、結局オオタコーチの発案で廃艦となったヱクセリヲンの縮退エンジンを暴走させてブラックホール爆弾として敵にぶつけるという作戦が採用され、その護衛にノリコとカズミのバスターマシン1号&2号が付く事になる訳であります。
しかし、オオタコーチは宇宙放射線病(宇宙戦艦ヤマト』で沖田艦長が罹患していた病気と同じ病名です。)に侵されており、亜光速で航行するガンバスターで出撃するノリコ・カズミは、もう二度とコーチに会えないかも知れない。作戦中、どんどん経過していく時間に耐えられず、コーチを恋い慕っていたカズミは作戦を放棄してしまおうとするのだが、ノリコの魂を込めた説得により、自らの使命を再認識。「合体しましょう!」という声と共に、ガンバスターに合体。宇宙怪獣軍団を相手に、一騎当千のその力を披露するのであった!
……いやぁ、熱いッ! 第1話の段階からは、こんな熱い展開になるなんて思いもしませんよね(笑)。
この戦闘シーンは挿入歌「トップをねらえ! 〜Fly High〜」がかかり、日高のり子と佐久間レイの迫真の演技と絶叫、そして非常にハイクオリティな戦闘の作画演出等、全てが噛み合って相乗効果を発揮した伝説的なシーンになっている訳であります。ガンバスターがコン・バトラーVみたいな動きをしたりゲッターロボみたいな動きをしたりウルトラセブンみたいな動きをしたりしているのですが、それを笑っているような余裕は全く無く、ただただ圧倒されるばかりであります。
恐らくこのシーンが、パロディやオマージュを超越した庵野演出の真骨頂なのでありましょうねぇ……。
そうして、地球に帰還した二人を、ちゃんと生きていたオオタコーチが迎えてて、ハッピーエンドです、めでたしめでたし!
いや、あともう1話残っていますが。

そうして、最終話である第6話。
サブタイトルである「果てし無き、流れのはてに…」は、小松左京のSF小説『果てし無き流れのはてに』からの引用であります。最終話がSF小説のタイトルからの引用となっているのは後のGAINAXオリジナル作品の伝統にもなっておりますね。
この最終話では画面が白黒になり、演出も全編通して古い映画風になっております。銀河を舞台としての、人類と数十億の宇宙怪獣との戦いが描かれます。
いや、もう深くは語りません。
さよならは言わないわ、行ってきます」というカズミの台詞と「帰ってきたら、おかえりなさいと言ってあげるわ」というユングの台詞、ノリコの「ごめんキミコ、もう会えない!」という台詞、そして1万2千年後の「オカエリナサト」、その直後のカラーになる一瞬が、もう総てであります。管理人も久方ぶりに観たら、もう感涙してしまって……(笑)。
第1話でロボットが筋トレしているおバカな映像からたった3時間(一気観したら)でこの感動巨編でありますから、もう本当に凄まじい作品でありますよ。「炎の熱血友情ハードSF宇宙科学勇気根性努力セクシー無敵ロボットスペクタクル大河ロマン!!!!!」というキャッチコピーは伊達では無いッ!
勿論、『日本沈没』同様の「この地域には被害が無い」テロップや、宇宙戦艦エルトリウムの椅子が『スーパーロボット マッハバロン』の国際科学救助隊KSSの椅子と同じモノになっているなど最終話で感動巨編だからといってパロディ・オマージュが無くなるという訳ではありません(笑)。木星をブラックホール爆弾にして銀河系の中心ごと宇宙怪獣を殲滅するというのも、木星を犠牲にして地球人類が助かるという『さよならジュピター』オマージュですしね。
しかしながら、宇宙戦艦エルトリウムを旗艦とする「銀河中心殴り込み艦隊」というネーミングは、もう人類はヤケクソになってしまったのかと思ってしまいますが(笑)。

感涙っすよ……。

オタクに向けた作品でありながらオタクに対する毒をも盛り込んで進行し、最後は壮大な大河ロマンとなって完結した『トップをねらえ!』というこの作品でございますが、本当に良い作品でありますよね。管理人は大好きであります。
単純に作品として観ても面白いですし、オマージュやパロディの元ネタと照らし合わせて観るのもまた面白いですし、本当にオタクががオタクに向けて創った作品であるという事が画面からにじみ出てきてきてやみません。
GAINAX的には、本当は全編第1話のようなパロディギャグ路線で行くつもりだったそうなのですが、庵野監督の意向もあって現在世に出ている形となったそうであります。
その為、美術スタッフに泣きながらロッカーを蹴ってリテイクを懇願した庵野監督の話とか、ノリノリで樋口監督が絵コンテを切って原画スタッフがそれを実現する為に四苦八苦したとか、最終話を白黒にしたせいで色彩設定が困難を極めたとか、制作に於ける紆余曲折やらスタッフ間の軋轢等、やたらギスギスした当時の制作現場についての話も出てきたりもする訳であります(笑)。
音楽を担当した田中公平先生などは、パロディギャグ作品のつもりで作曲していたらいつの間にかSF大河ドラマになっていて、「こうなるんだったら最初から言ってくれ!」と絶叫したとかしていないとか(笑)。

そういった感じで、『シン・ゴジラ』公開の予習として『トップをねらえ!』について長々と書いてきた訳でありますが、いかがでしたでしょうか。他にも、庵野監督による音楽演出であるとか、画面構成やレンズの再現や、ここまでで言及していなかった台詞やシーンの元ネタについて等、まだまだ書きたい部分はありますが、それらを書いていくと本当に収集が付かなくなってきそうなので、取り敢えずこれくらいにしておこうかなと。このような長大な記事になってしまうあたり、やっぱり俺は『トップをねらえ!』が、庵野秀明監督の作品が大好きなんだなぁと、改めて実感するしきりであります(笑)。
皆さんも『シン・ゴジラ』予習として『トップをねらえ!』を観るというのも一興ではないでしょうか。
3時間程度でサクッと観れるので、未見の方も是非!(未見の人はここまでのクソ長い記事を読みませんかそうですか。


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2016/06/22 17:36|SFアニメTB:0CM:4

コメント


このアニメ、実は友人に無理やり見せられてげんなりしながら見始めたのです。でも、3巻あたりから目がマジになり、6巻目にいたっては傑作としか言えませんでした。

おまけに大好きな「百億の昼と千億の夜」と並ぶ日本SF界の究極「果てしなき流れの果てに」を引用されたら、個人的には「反則技!」と言うほかありません。

正直、庵野監督は自分の好みの作家ではありませんがこういうことをやってのけるので否定的なスタンスをとれないのです。
amleth machina #SY/LY76s|2016/06/23(木) 03:06 [ 編集 ]

>>amleth machinaさん
この作品、私は高校生の頃に初めて観たのですが、特段まだ元ネタがどうとかそういう事は一切気にならずすんなりと観れていたような気がします。
今では、庵野監督の作品で一番好きな作品になった訳ですが(笑)。

しかしながら、今思えば私も、この作品を観たのをきっかけに色々とSF小説なんかも読みはじめましたので、案外SF入門作品としても優れているのではなかろうかと思います。
飛翔掘削 #GpEwlVdw|2016/06/23(木) 20:20 [ 編集 ]
最近
最近はともすれば5,6話しか見ず、下手をすれば動画サイトで5話の戦闘シーンのみしか見ない波のまにまに☆です。

お見事な論評でした。

私にとっては、書きたくてもテーマが思いつけずに書けない作品の典型例で、素直な感動とこの作品を見る愉悦が、
文章からあふれてくる内容は、うらやましい限りです。
だって、お姉さまの鉄下駄、見たくなったもんw
波のまにまに☆ #-|2016/07/14(木) 11:36 [ 編集 ]

>>波のまにまに☆さん
『トップ』は、多分私が庵野作品で一番好きな作品なので、それを叩きつけた感じの記事になったのだと思います。
観直し直後のテンションで書いているので、勢いが倍化していますし(笑)。

鉄下駄お姉さまは、もう笑うしかないですよ、アレ!

飛翔掘削 #GpEwlVdw|2016/07/16(土) 13:35 [ 編集 ]

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